ADIEU TOUT

死に臨した者の網膜にはこの世界が、目眩くばかりに美しく映じられることがあるという。未だ見ぬままに魅惑されていたそのイメージを、かねてから具現したいと思っていた。コロナ禍で人から離れた時を過ごすなか、「万象への訣別」を意味するフランス語のこの題名が不意に脳裡に浮かび、音楽と映像から成る作品を梅雨の訪れの前に作った。

曲はギターのみで演奏した。弦を4本だけ張ったHarmonyのStratotoneをバイオリンの弓で弾いているほかは、すべてGretschのDuoJetを弾いている。メインのギターは自作のファズをかけている。

映像はすべて、風が荒れ日差しが灼けつく時間を狙って昭島と立川で撮影した。

2020.6.22